2012年3月11日日曜日

震災と瓦礫と広域処理。その隠されていた事実

2012/02/29の国会での党首討論の冒頭、自民党の谷垣総裁は被災地の瓦礫広域処理を、民主党の野田総理大臣に強く迫りました。民主党野田総裁もそれを受けて了承しました。

2012/03/08、環境省は全国紙に置いて見開き全面カラー広告と言う、まさに税金の無駄使い(3億とも言われている)の広告費を使っています。これを見ると、被災地全体が瓦礫に埋まっている様な印象を与えます。


この広告を見ると、次の写真の湾岸戦争に対する国際世論をミスリードした油に塗れた海鳥の写真を思い起こさせます。この写真は、湾岸戦争とは全く関係のないものでした。


放射能拡散の危険性も指摘される中、なぜこのように政治主導で強引に広域瓦礫処理を押し進めようとするのでしょうか?

2012/03/07の衆議院内閣委員会で小泉進次郎議員(自民)は、瓦礫処理と受け入れにて、下の動画で見られるように信じられない発言までしています。

彼は、瓦礫の広域処理に反対する人々を Noisy minority(一部のうるさい人々) とまで言い切っています。(05:50"辺り)
また、瓦礫の受け入れの権限が瓦礫処理施設の存在する地区にある事を、立法処置により制限し、国による強権的行動をする事も迫っています。(14:00"辺り)

なぜ、ここまで政府も野党も官僚も瓦礫の広域処理に拘るのでしょうか?

考えなければいけない問題は2つあります。
1) 本当に、瓦礫処理が震災復興の足かせになっているのか?
2) なぜ、瓦礫の広域処理に拘るのか?
この2点について考えてみましょう。


1) 瓦礫処理が、本当に震災復興の足かせになっているのか?

朝日新聞デジタル マイタウン 岩手に次の様な特集があります。
復興に向けて 首長に聞く
大震災から1年。暮らしを、まちを、どう立て直すのか。各首長に聞く。

2012年02月29日
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001202290001
【伊達勝身・岩泉町長】
現場からは納得できないことが多々ある。がれき処理もそうだ。あと2年で片付けるという政府の公約が危ぶまれているというが、無理して早く片付けなくてはいけないんだろうか。山にしておいて10年、20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。
もともと使ってない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか。

2012年03月07日
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001203070001
【小田祐士・野田村長】
例えば、この高台移転事業は、建築制限をかけるエリアが対象だ。今回は津波による浸水エリアが広いため、家族を亡くし、高台移転を希望しながら対象にならない被災者がいる。同じように対応して欲しい。
宅地のかさ上げは、制度を調べていくと、村単独の事業になってしまう。とても財政的に持たない。新たな制度を設けるか、もっと制度の要件を緩和してもらわないと。

2012年03月09日
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001203090003
【水上信宏・洋野町長】
水産施設の復旧も進んでいる。町営の魚市場は3月いっぱいで建物が完成する。五つある漁協も新年度には本格復旧に着手する。12ある水産加工場の従業員はこれまで95%が職場復帰した。いち早く操業再開を決断してくれた経営者に感謝している。

【山内隆文・久慈市長】
市の防災計画は、建設中の湾口防波堤を前提にしている。つまり、何よりも優先して湾口防波堤の完成が急がれるということだ。
 予算総額1200億円。計画延長3800メートルのうち完成したのは920メートル。2028年度の完成を目指すのに、09年度以降、予算が半分から3分の1に減らされている。予算ベースでいけば工期が2、3倍かかる。とんでもない話だ。
再生可能エネルギーの事業化や総合防災施設も「緊急性がない」と判断された。まちづくりには、パッケージが必要かもしれないが、できることは前倒しでやってほしい。計画を進めることで集団移転も促進できる。

被災地の本当の話を知るべし! 陸前高田市長が見た「規制」という名のバカの壁とは?
日刊サイゾー 
戸羽市長(以下、戸羽) その繰り返しに尽きますね。たとえば、がれきの処理というのは復興へ向けた最重要課題のひとつなわけですが、現行の処理場のキャパシティー(受け入れ能力)を考えれば、すべてのがれきが片付くまでに3年はかかると言われています。そこで、陸前高田市内にがれき処理専門のプラントを作れば、自分たちの判断で今の何倍ものスピードで処理ができると考え、そのことを県に相談したら、門前払いのような形で断られました。

道新Web (03/02 18:53)
宮城県知事、「査定庁」と批判 復興交付金の圧縮で
村井知事は、津波浸水域での県道整備などが実質的にゼロ回答だったとして「前に進もうとしているのに、国が後ろから袖を引っ張っている」と強い不満を表明。手続きの煩雑化も指摘し「これなら復興交付金をなくして、(元の制度の)国庫補助事業にしたほうがいい」と述べた。

また、東京新聞にはこのような記事もある。


震災がれき広域処理は問題の山 環境総合研・池田副所長に聞く
東京新聞 2012年2月15日
・被災地に何度も足を運んでいるが『がれきがあるから復興が進まない』と言う話は聞かない


なぜガレキ処理が進まないか:宮城の産廃業者の話
http://togetter.com/li/260734
なぜガレキ処理が進まないのか。広域処理を各自治体が拒んでいるからなのか? それとも他に理由があるのか。
宮城の産廃業者の話をツイートしたものを収録しました。
ガレキ処理能力のないゼネコンが事業を引き受けている、自治体担当者がガレキ処理の法律に明るくない、など数々の問題が浮かんできています。


瓦礫処理が、復興事業の根本的な足かせになっているとは言えません。
また、広域処理される瓦礫について考えてみます。

次の記事に、岩手県の瓦礫の内訳を書いてあります。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20120304_6
本県がれき処理、13年度完了厳しく 広域処理が滞る
岩手日報 (2012/03/04)
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本県は2014年3月末までに、推計総量435万トン(海のがれきを除く)に上るがれきの全量処理を掲げる。ただ、放射性物質に対する不安から県外での広域処理が滞り、処理済み量は11年度目標の69万トンに対し現状37万トン、年度末でも約50万トンにとどまる見通し。残された期間は2年のみで広域処理拡大に向けた国のリーダーシップも問われている。
 県資源循環推進課によると、435万トンは県内の一般廃棄物年間排出量の10年分以上に当たる。木材と可燃物、不燃物計125万トンは県内で処理するが、処分しきれない57万トンは広域処理を求める。このほか、土砂など170万トンは路盤材などに再利用、73万トンの金属くずは売却する。畳9500トンや漁網など7万トンは県内で焼却や埋却を検討する。
 生活圏域のがれきはほぼ全量を仮置き場に撤去。1月には宮古、山田、大槌の3市町に破砕・選別プラントを設け大量処理に必要な設備を整えた。宮古、釜石両市の仮設焼却炉が近く本稼働し、大船渡市の太平洋セメント大船渡工場は今夏から日量千トンの処理に乗り出す見込み。内陸処理も盛岡・紫波地区環境施設組合など6団体が協力、近く八幡平市など3団体が加わる見通しだ。
 一方で、広域処理は山形県と東京都の受け入れにとどまる。静岡県島田市が2月に山田町のがれきを試験焼却し、今月には埼玉県と八戸市、5月には秋田県が試験を予定するなど新たな動きもあるが、受け入れを検討しているのは神奈川県や大阪府などを加えた8府県市のみ。地方自治体間の交渉や住民説明だけでは現状打開は困難な情勢だ。
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推計総量435万トンの瓦礫には、一般廃棄物も産業廃棄物も土砂も金属くずも含んだ数字です。これに対して、現在の処理が5%程度だと言っているのです。数字のマジックでしかありません。
再利用する土砂の170万トン、売却する金属くずは73万トン、合計すると243万トンあります。これを引くと、処理しなければいけない瓦礫は192万トンになる。
この量なら、岩手県内の一般廃棄物年間排出量の5年分にしかならない。
2014年3月末までに処理を終える事を前提にしているが、その根拠は何なのだろうか?
全国で広域処理をするためにつぎ込む予算を、現地での処理施設の増設・拡充に充てれば済む事ではないでしょうか?

実際、NHKのドキュメンタリー番組でも地元自治体の震災復興の遅れに対する難問として、被災自治体でのマンパワーの不足・複雑すぎる事務処理に対する悲鳴・申請した復興事業に対する認可率の低さ(60%程度)・地元住民の高台移転に対するコンセンサスの遅れが指摘されていました。(2012/03/10)

これらの問題が、瓦礫の広域処理で解決する問題とは思えません。


2) なぜ瓦礫の広域処理に拘るのか?


この点を調べていくと、瓦礫の広域処理事業自体が以前から災害のたびに進められてきていて、この事業を核に瓦礫処理業者の再編が行われている事が分かってきました。

今まで瓦礫処理は公共事業でやられているものと思っていましたが、現在ではPFI/PPP (Private Finance Initiative)という民間との共同でやられています。

これを進めているのが、財団法人日本環境衛生センターです。(環境省所管特例民法法人)
これが、PFI/PPP 推進協議会の資料です。
この資料の
(2)既公募案件の事業概要
の中の「アドバイザー」の項目を見ると、パシフィックコンサルタンツ株式会社の名前が多く並んでいます。

この資料から、静岡県でも何カ所かの処理場が作られている事が分かります。
静岡県御殿場市・小山町広域行政組
静岡県長泉町
静岡県浜松市
このアドバイザーが全て パシフィックコンサルタンツ株式会社。

この会社、 2011/05/12の段階で、次の様な意見を出しています。
「災害廃棄物処理にどう臨むか」の記事が環境新聞に掲載されました
東日本大震災 災害廃棄物処理にどう臨むか 
1 面的な災害 広域連携が重要  (環境新聞2011年4月20日
2 指示・ 命令系統を強化すべき (環境新聞2011年4月27日
災害廃棄物処理にどう臨むか 命令系統の明確化が不可欠 (環境新聞2009年4月8日)

このパシフィックコンサルタンツ株式会社(PACIFIC CONSULTANTS CO.,LTD.)が、またうさんくさい会社です(wikipediaより)

2008年以降、国内・国外での相次ぐ不正・不祥事が発覚した。国内担当のパシフィックコンサルタンツ株式会社は、独立行政法人緑資源機構に絡む談合で公正取引委員会から課徴金を課せられたほか、海外部門の株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナルは、ベトナム政府高官に対する収賄・我が国の内閣府への詐欺を行い東京地検から告訴され、いずれも東京地裁で有罪判決後、同社は控訴せず刑が確定。
株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)は、事業を同業のACKグループに譲渡し、解散する見込み。

この会社が属しているのが、国土開発研究機構です。

国土総合研究機構
  • 会資本のあり方並びに良質な社会資本形成に向けた技術面の共同研究 
  • 建設コンサルタントの新たな市場開拓と社会的地位の向上に関する提言 
  • 構成企業及び建設コンサルタントの経営基盤の強化 
を達成するために、(株)建設技術研究所、日本工営(株)、パシフィックコンサルタンツ(株)の三社により設立された組織です。

この国土総合研究機構の推進するのが「PMC」と言う方式。
★「震災復興に向けたPMCの提案」 [2011.11.14]
建設コンサルタントとして震災復興事業の円滑な推進を担うべく、壊滅的な打撃を受けた被災自治体等に対してPMC(プロジェクト・マネジメント・コンサルティング)を活用した総合的な事業執行手法の導入を提案しました。

PMCとは、「プロジェクトの目的を達成するために、発注者の代行として主体的に、専門的技術をベースにプロジェクトの企画・構想・計画から事業完成・維持運営まで、工期・品質・コスト等の主要項目とその他必要項目の監理・調整を行うコンサルティング」です。

要するに、地方自治体にアドバイスの形で協力しながら、成り代わって業務を代行する方式です。岩手県のコンサルタントがパシフィックコンサルタンツ(株)でした。

また、環境省は全国産業廃棄物連合会を通じて、全国の産廃物処理業者を統合しています。
公益社団法人 全国産業廃棄物連合会
ここで、既に今回の震災が起こる前から震災瓦礫の広域処理が取り決められていました。
災害廃棄物処理支援

大量に発生した災害廃棄物を迅速かつ適正に処理するためには、産業廃棄物処理業界の果たすべき役割は非常に大きいと考えられます。そこで、連合会では、平成16年に「災害廃棄物処理体制構築マニュアル」を作成し、自治体が実施する災害廃棄物処理の支援に向け、各都道府県協会が事前に構築すべき体制整備の内容を中心にとりまとめ、支援体制の構築に向けて取り組んでまいりました。その結果、各協会においては、阪神・淡路大震災以降、約30の災害において廃棄物処理支援を行ったほか、39の協会が地元自治体と支援協定を締結するに至りました。(平成21年1月調査時点)
さらに、自治体支援時の留意事項、災害時における協会・連合会の役割等といった、平常時に整備した体制を災害時に円滑に推進するための検討を進め、その内容を「産業廃棄物業界における災害廃棄物処理支援の手引き」としてこの度とりまとめました。
災害廃棄物処理支援という広く公益性を持った事業の推進に向けて、業界全体を上げて引き続き取り組んで参ります。

災害廃棄物処理支援の手引き

この連合会に於いて、環境省から全国の産廃物処理業者に向けて放射性汚染物質対処特措法についての説明会が既に開かれています。
1月1日に全面施行された放射性物質汚染対処特措法について、産業廃棄物処理業者向け説明会を開催します。開催日は1月23日(仙台会場)、1月24日30日(東京会場)、1月26日(福島会場)です。【環境省産業廃棄物課】

これらの、財団法人日本環境衛生センター・公益社団法人 全国産業廃棄物連合会
環境省は、全国の産廃業者に瓦礫の広域処理を任せる事を前提に動いているのです。

この2点から、環境省は「今回の震災の復興が進んでおらず、その原因が震災瓦礫の処理が進まない」として震災瓦礫の広域処理を打ち出したのではなく、「以前から全国の産業廃棄物処理業者と取り決めていた」から震災瓦礫の広域処理を押し進めている事が分かります。

ですので、放射性物質の分布が明らかになる前から広域処理を打ち出しています。
震災瓦礫に放射性物質がついているかどうかは、お構いなしなのです。

野田政権が現在、税と保障の一体改革として消費税の追加を進めているのはご存知でしょう。いくら震災復興のためとはいえ、無駄な税金を無制限につぎ込むわけにはいかない事は明らかです。

意味も根拠も無い震災瓦礫の広域処理は、行う必要はありません。
被災地において、より効率的で効果的な震災復興を押し進めて、本当に被災地の人々のためになる政策を進めなければいけません。